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  • 札幌いちご会 事務局

障害者の虐待はなぜなくならないのか?


執筆者: 光増 昌久(みつます まさひさ)


< いちご通信218号(2023年6月号)より抜粋 >


 いちご通信を購読している読者は全国に広がっている。もちろん札幌市、北海道にも多い事は承知している。

 道民にとって、昨年末から新聞紙上(北海道新聞を中心に)で知的障害者が施設などで障害者虐待の被害者になっている記事を見るたびに、やるせない気持ちになっているのでないだろうか、私もそうである。

 事例を紹介すると、稚内市の障害者支援施設の女子職員が利用者に身体的虐待、心理的虐待を与えていた。西興部村の障害者支援施設と特別養護老人ホームでは、利用者を裸のまま放置し、裸の写真を撮っていた事が判明した。心理的虐待、性的虐待、放置・放任(ネグレクト)に該当する。注1)


 注1 障害者虐待の種類では「身体的虐待、心理的虐待、経済的虐待、放置・放任(ネグレクト)」で市町村等への通報義務もある。


 厚生労働省発表による令和3年度障害者虐待対応状況調査〈養護者による障害者虐待〉〈障害者福祉施設者等による障害者虐待〉では、相談・通報件数、虐待判断件数、被虐待者数とも経年で増加している。養護者による障害者虐待の相談・通報件数では7,337件、虐待判断件数では1,994件、被虐待者数は2004人になっている。障害者福祉施設従事者等による障害者虐待では、相談・通報件数3208件、虐待判断件数699件、被虐待数956人になっている。


 障害者福祉施設従事者等による障害者虐待の内容を見てみると、虐待者772人で

  • 性別 男性(69.0%)女性(31.0%)

  • 年齢 60歳以上(20.5%)40~49歳(17.0%)50~59歳(16.2%)

  • 職種 生活支援員(37.2%)世話人(10.5%)管理者(9.3%)その他従事者(8.5%)サービス管理責任者(6.7%)

 ※管理者・サービス管理責任者で16%。本来従事者に虐待防止の支援や研修をする立場の人も虐待をしている実態は許されない。 


別表1は「障害者虐待の事実が認められた施設・事業所の種別、別表2は「虐待行為の類型(複数回答)、別表3は「被虐待者」



別表1.「障害者虐待の事実が認められた施設・事業所の種別」

件数

構成割合

1.共同生活援助

162

23.2%

2.障害者支援施設

146

20.9%

3.放課後等デイサービス

95

13.6%

4.生活介護

87

12.4%

5.就労継続支援B型

83

11.9%

6.就労継続支援A型

33

4.7%

その他

93

13.3%


 別表1では、以前は障害者支援施設(入所施設)が1位であったが平成3年度は共同生活援助(グループホーム)が1位である。




別表2.「虐待行為の類型(複数回答)」

身体的虐待

性的虐待

心理的虐待

放棄・放置

経済的虐待

56.8%

15.3%

42.2%

5.4%

5.0%


 別表2では身体的虐待(56.8%)、心理的虐待(42.2%)(複数回答)が多い。身体的虐待には身体拘束も含まれる。




別表3.「被虐待者」

  • 性別 男性(66.4%)、女性(33.6%)

  • 年齢 ~19歳(18.9%)、20~29歳(17.6%)、30~39歳(17.3%)、40~49歳(16.5%)

  • 障害種別(重複障害あり)

身体障害

知的障害

精神障害

発達障害

難病等

16.5%

72.9%

15.3%

6.1%

1.4%


  • 障害支援区分のある者 (68.5%)

  • 行動障害がある者 (32.2%)


 別表3では被虐待者の実態として性別では男性が多く、年齢では各世代で、障害種別では

知的障害が(72.9%)で圧倒的に多く、身体障害(16.5%、精神障害(15.3%)(複数回答)その他障害支援区分のある者(68.5%)行動障害がある者(32.2%)で、男性で障害支援区分があり、行動障害がある者が虐待の被害にあっている。




 令和4年4月からは、身体拘束等の適正化のための指針を各事業者で掲げ、研修が義務付けられている。

 北海道のホームページでは、「施設に於ける障がい者虐待防止に向けた利用者等及び施設従事者実態調査について掲載されている。調査目的は障がい者虐待を未然に防止していく観点から、現に障害者支援施設に入所されている方及びご家族並びに支援に携わる施設従事者の方にご意見をお聞きすることで、より安全で適正なサービスの提供及び質の確保と向上につなげていくことを目的としている。


 11月に予定しています講演会でもお話をしたいと思っている。

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