2023年講演会「虐待は無くならないのか?」(土本秋夫さん講演)
- 札幌いちご会 事務局
- 4月25日
- 読了時間: 5分
2023年11月18日、札幌市生涯学習支援センターちえりあ にて、
NPO法人札幌いちご会講演会「虐待は無くならないのか?」を開催しました。
講演してくださったのは、
土本秋夫(つちもと あきお)さん :ピープルファースト北海道、NPO法人共生舎理事
中野喜恵(なかの よしえ)さん :社会福祉法人はるにれの里
渡邊譲(わたなべ ゆずる)さん :株式会社ライズリング代表
の3名でした。
まずはじめに、土本秋夫さんの講演記事をご紹介します。
<いちご通信220号より抜粋>
NPO法人いちご会研修「虐待はなくならないのか」
NPO法人共生舎 理事 土本秋夫

〈当事者運動をはじめたきっかけ〉
スウェーデンの当事者運動家オーケヨハンソンに出会ったこと、
支援者と出会ったことがきっかけです。
支援者から「ピープルファーストの活動をやらないか?」と誘われました。
一度断りました。
でもよく考えて活動し始めたことがありました。
〈ピープルファースト北海道の立ち上げと活動目標〉
1999年ピープルファースト北海道を仲間と立ち上げました。
最初の5人でいま残っているのは2人しかいませんが、
地元での活動を始めました。
4つの目標があります。
「入所施設解体」
「差別・虐待を許さない」
「地域の福祉サービスを増やす」
「仲間を増やそう」
と活動しています。
〈ピープルファーストジャパン設立、障害者自立支援法の闘争へ〉
2004年結成大会を開きました。
全国の仲間と話し合いながら、全国組織をたちあげてきました。
支援費制度から障害者自立支援法へとかわるときに、
国が制度を悪く変えるような話し合いがされていました。
自分たちは、全国の仲間、ほかの団体とも協力して
厚生労働省の前で直接声をあげました。
厚生労働省の前で寝泊まりしたこともありました。
〈内閣府の仕事:障害者制度改革推進会議の委員となる〉
障害者権利条約に批准するために、
国内の法律を考えてきました。
当事者委員として会議に参加しました。
毎回、とてもすごい量の資料。
ポイントを絞って何を発言するか相談してきました。
会議では、むずかしい内容やわからないカタカナや
専門用語などが出てくることも多かったです。
会議の中で分かりやすく話してほしい時に出す
イエローカードを作りました。
ほかの委員にとっても必要なことでした。
〈津久井やまゆり園事件と弟への想い〉
2016年7月に入所施設で19名の命が
奪われる事件が起きました。
犯人は「重度障害者は、意思がなく必要ない存在」だと殺しました。
自分たちの存在を否定しました。
自分には弟がいます。
いま入所施設にはいっています。
重度と言われていますが、意思はあります。
おなかが減ったらおなかをさすったり、ほしいものを指さしたり。
言葉にならなくても、表現します。
意思決定支援が大切です。
意思決定させない入所施設が事件を起こさせたと思います。
〈ペンハーストでトーマスギルホール弁護士との約束〉
アメリカのペンシルバニア州にあった大規模入所施設「ペンハースト」の跡地で、
訴訟で施設解体をしたトーマスギルホール弁護士と
「日本の弁護士を使って入所施設を解体する」というを約束しました。
〈これまでの抗議行動 北海道外での事件〉
2004年福岡県カリタスの家、
2013年福岡県NPO法人リブロ、
2013年千葉県社会福祉事業団 袖ヶ浦養育園事件
2015年山口県下関市大藤園事件など
全国の仲間と現地へ行って抗議や交渉などを行ってきました。
〈北海道内でおきた差別・虐待・人権侵害への抗議〉
今年は、虐待事件が北海道内で立て続けに発覚して、
何時間もかけて現地に行って話し合いをするなど忙しい年でした。
江差町あすなろ福祉会でのGHでの不妊処置条件化問題、
西興部村清流の里虐待事件
稚内市はまなす学園虐待事件
別海町柏の実学園虐待事件
市町村や北海道庁への抗議・話し合いも続けてきました。
自分たちはふみつけられ続けています、
自分たちのことを人として見ていないということです。
〈旧優生保護法裁判を応援〉
旧優生保護法で、日本では勝手に子どもを産まなくする手術をした。
被害を受けた人たちは、返事もしないうち「手術」をされたこと。
70歳、80歳になって、やっと訴えようとしても、
法律の壁にぶつかり、「除斥期間(20年過ぎたから訴えても無理)」と言われています。
今、国に訴えても、跳ね返されてしまう。
自分たちの心や体を傷つけ、踏みつけられてしまっています。
はやく解決してほしいです。
〈最後に〉
虐待防止法ができてきても、国は、虐待をしていることです。
いつまでも、施設に閉じ込められ、地域でも賃金や障害者基礎年金も払ってなく、
人として扱っていません。
精神は、長いこと病院に入れられ、身体拘束までされ、
それも人として扱っていないままでいます。
「いつまで自分たちは、踏みつけられているんだ」
「もう踏みつけるな」
「人としてあつかえ」と言い続けます。
自分たちは、障害者である前にひとりの人間だと言い続けています。
自分たちは、踏みつけられても、立ち上がる。
国は、悪いことはしてないと知らん顔をする。
これからも声を上げ続けていくことです。
〈集会(講演会)に参加して〉
NPO法人共生舎理事として出ました。
いままでやってきた事、全国で虐待をしてきた所の写真を見ながら
抗議した話をしてきました。
自分と中野さん、渡邊さんが話しました。
最初から質問はなしにしていました。
その分を話す時間にかけたと思います。
自分以外の2人の話を聞いて、思ったのは
施設をやっている施設長は虐待のことを隠していることを話してくれました。
自分は、嫌な気持になりました。
かくしても、虐待のこと伝える職員もいます。
しかし、自分たちが抗議しても抗議しても伝わらない施設長や理事長がいることです。
自分たちはあきらめない。
「入所施設をなくしていくこと」、
「差別虐待を許さない」
「地域の福祉サービスを増やす」
「仲間を増やそう」
この4つのことをこれからも言っていくことです。
自己選択自己決定。自分で選んで、自分で決める。
『 いきいき のびのび ゆうゆう 』
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